※本記事は人材紹介サービス「CAREEPOOL(キャリプール)」(運営元:ドリームインキュベータ)からの転載記事です

転職活動は、大変なパワーと時間を必要とします。しかもそれを現在の仕事と並行して行うのでさらに大変です。それだけ大変な思いをするのですから、できれば、失敗はしたくないものですよね。

では、ベンチャー転職における失敗とは何なのか?それを回避するためには何に気をつければよいのか?2回にわたってお伝えをしていきます。


転職してたくさんの人が後悔している

まずは、実際に転職をした人の多くが、転職を後悔しているという話から始めたいと思います。

転職で失敗したと後悔している人は4人に1人

とあるサイトのリサーチによると、転職経験者のなんと約4人に1人が転職を後悔しているのだそうです。

この結果が多いか少ないか一概には判断できません。しかし、私の経験上、転職には多大なエネルギーと時間が必要となります。そのエネルギーと時間を費やした結果、25%もの確率で後悔してしまうというのはリスクが大きすぎる印象です。

転職が失敗したと思うのは入社後にギャップを感じた時

では、転職が失敗したと思う理由は何なのでしょう?転職で失敗したと思うのは、以下の5つの項目について、入社後に大きなギャップを感じた時なようです。

・人間関係
・労働環境
・待遇(給料)
・仕事内容
・社風

いずれも、入社後に大きなギャップがあると支障がありそうな項目ばかりです。しかし、大企業からベンチャーへの転職という観点でいえば、このすべての項目のギャップをなくすことは難しいと思います。

というのも、給料や労働環境については、ベンチャーより大企業の方が、条件が良い場合が多いからです。

では、ベンチャー企業への転職で後悔しないためには、何のギャップをなくすと良いのでしょう?

ベンチャー転職において一番の失敗は、やりたいことができないこと

そもそも、安定した大企業からわざわざリスクをとってベンチャー企業に転職するのは何のためでしょう?一番の理由は、「自分で描いたキャリアプランを実現するため」ではないでしょうか。

そう考えると、ベンチャー企業への転職で一番後悔するのは、描いたキャリアプランを実現するような経験が積めないこと。

つまり、あなたが「やりたいことができない」というギャップがを感じた時です。

やりたいことができないギャップはどこから生じるのか

では、「やりたいことができない」ギャップはどこから生じるのでしょう?これには主に2種類あります。

一つは、あなたがやりたいと思っていた仕事内容と転職先の仕事内容にギャップがあるケースです。さきほどの5つの項目でいえば、「仕事内容」にギャップがある場合ですね。

もう一つは、あなたが「活躍できない」ことで、自分がやりたい仕事にアサインされる機会が来ないというケースです。「活躍できない」のは本人の能力の問題であるケースもあります。しかし、転職においては、「社風」や「人間関係」のギャップが原因で、周囲とうまくいかずに力を発揮できないケースも多いのです。

まとめると、ベンチャー転職で失敗しないために優先的に解消すべきギャップは、「やりたいことができない」ことと「活躍できない」ことの2点です。

そのために「仕事内容」「人間関係」「社風」に対して入社後にギャップが生じないよう、転職活動を進めることが大事になります。

「仕事内容」のギャップを解消するには

では、どうすれば上記のようなギャップを解消できるのでしょうか。

ギャップを解消するために、転職活動(事前準備/企業選び/面接)を通して準備・確認すべきことは以下の3つです。

1. 自分のやりたいことを明確にする

まずは、自分が転職してやりたい仕事や得たい経験を明確にしましょう。自分のやりたい仕事を明確にするには、まず、自分の数年先のキャリアをイメージすることが重要です。そして、その数年先のキャリアイメージに到達するために、これからどんな仕事や経験ができると良いか具体的に考えましょう。

できる限り具体的に考えることで、ギャップが生まれにくくなります。

2. 今、やりたいことができるか確認する

自分のやりたいことが明確になったら、転職を検討している会社はそれができる環境なのかを確認します。まずは、会社のホームページなどで情報を収集し、やりたいことができそうであればエントリーします。

そして、面接の場で人事や希望する部署で実際に働く人に、本当にやりたいことができそうか、具体的に確認をすることが必須です。

3. 将来もやりたいことができそうか確認することを忘れない

これでギャップがなくなったと安心するのは少し早いです。転職先がベンチャー企業であれば、今その事業や職種があったとしても数年後どうなっているかわかりません。例えば、携帯電話に関する仕事をしたい人が大手通信キャリアに転職すれば、よほどの事がない限り、やりたいことをやり続けられるでしょう。

しかし、大手と違ってベンチャー企業は事業そのものが流動的です。今は主力事業であったとしても、今後の成長過程のなかで事業縮小や撤退といった方向転換もありえなくはない話です。そうすると、やりたい仕事が少なくなることや、最悪の場合は無くなってしまうことすらあり得るのです。

経営トップに将来の構想を確認する

では、どうすればそのリスクを回避できるのでしょうか?転職を決める時点でこのリスクを最小におさえるには、社長の方針や考えをよく聞く以外に方法がないと私は思います。

ベンチャー企業の経営の方向性を知る上で、転職前の人間が知れる一番確かな情報は社長の考えです。選考過程で社長との面接があればその場で、なかった場合は社長との面談をお願いしてでも、確認することをおすすめします。

私は、実際に経営トップに確認することでミスマッチを防げた

私の経験談をお伝えします。私は人材育成のプロフェッショナルを目指すという目的で転職活動をしていました。

活動中、志望度がそれなりに高かった人材育成企業のトップに、今後の方針について確認したところ、「人材育成だけでなく、ITを活用して様々な人事課題を解決する方向に拡大していきたい」意向があることを教えてくれました。それは、人材育成のプロを目指したい私にとって、ミスマッチとなる可能性を示唆する情報だったため、事情を話して選考を辞退しました。

ちなみに、いま私が勤める会社のトップは、人材育成に対してとても熱い想いを持っていてかつ、今後も人材育成を中心として事業拡大していく意志を面接の場で伝えてくれました。

私が今の会社に対して、仕事内容に対するギャップが限りなくゼロに近いと思えた瞬間でした。

まとめ

ベンチャー企業への転職では、「やりたいことができない」というミスマッチを絶対に防ぐ必要があります。そのために、自分がやりたいことを明確化し、それが今できるかだけでなく、「将来もできるか」を経営トップに確認することが重要です。

次回は、ベンチャー企業への転職で避けたいもう一つのミスマッチである「活躍できない」というリスクをどう回避するかについてお伝えしたいと思います。


【連載】ベンチャー転職TIPS

第1話 ベンチャー企業への転職をおすすめする3つの理由
第2話 ベンチャー企業への転職で失敗しない「お金」の考え方
第3話 自分はベンチャー企業に向いているか。適性を考える
第4話 ベンチャーへの転職前に解消すべきギャップ(前編)
第5話 ベンチャーへの転職前に解消すべきギャップ(後編)
第6話 大企業とベンチャー企業、それぞれの良い部分
第7話 ベンチャー転職の面接で気をつけるべきこと(前編)
第8話 ベンチャー転職の面接で気をつけるべきこと(後編)
第9話 転職活動で迷ったら、論理だけでなく感性に頼ろう
第10話 転職活動で失敗しないための周囲との関わり方


取材者・平重 克樹 文・ 大久保 崇
提供元・CAREEPOOL powered by DIMENSION