DXやAIを駆使した合理的なビジネスモデルを導入し、創業わずか3年9カ月で上場。完全成功報酬制などの顧客に寄り添ったサービスを武器に日々シェアを拡大しているのがM&A総合研究所(以下、M&A総研)だ。今回は、2024年に発足した金融提携部を紹介する。全国の金融機関(銀行、信用金庫など)から顧客の紹介を受けてM&A仲介を実現するチームだ。
M&A総合研究所 提携本部 金融提携部 部長 菅原岳彦(以下、菅原)と提携本部 金融提携部 シニアマネージャー/高崎オフィス オフィス長 中嶋宏樹(以下、中嶋)の2名に、業務内容とやりがいについて聞いた。
お金の知識があれば身近な人の役に立てるはずと、純粋な思いからメガバンクに新卒で入社した中嶋。12年半にわたり勤務するなかで、お金の流れをみっちりと学んできた。事業承継や相続対策などの相談では、専門家につなぐハブの役割を担ってきたという。ただM&Aの絡む案件では、知識面で専門家には歯が立たなかった。
「34歳になり、これまでの自分を振り返り、他業界のことを調べるようになりました。そのなかで、M&Aコンサルタントとしてスキルを身につけ、フラットな環境でやりがいのある仕事をする自分の姿がいちばんしっくりきたのです。M&A総研の数字で平等に評価される仕組みと、自己成長できる環境に魅力を感じ、入社を決めました」
実際に入社してM&Aの仕事を始めてみると金融機関と関わる機会が多く、銀行員時代の経験が大きく役立っているという。
中嶋宏樹 M&A総合研究所提携本部 金融提携部 シニアマネージャー/高崎オフィス オフィス長
一方、菅原は、24年に発足した金融提携部の立ち上げメンバーである。地元である宮城県仙台市の大学で金融・経済を学んだ後、東北地方で最大規模の地方銀行に入社した。
「さまざまな業界に関与できる銀行は、将来どのような職業に従事することになっても知識が役立つ理想的な職場だと考えていました。勤めていた13年半の間、個人・法人営業の両方を経験し、融資、資産運用の提案を経て、最後の約5年は本部でM&Aの業務を担当していました」
すでにM&Aの仕事に携わっていながら、なぜM&A総研への転職を決めたのだろうか。
「経験を生かせるフィールドがここにある。地方だけでなく全国のM&Aに携わって自己成長したい。より多くのM&Aの経験を積みたい。この3つが理由です。M&Aは、世の中のほとんどの社長様にとって一生に一度あるかないかの局面です。譲渡企業のオーナーとしては、数十年育ててきた会社を手放す大きな意思決定となる場合もあります。譲受企業も、事業成長への社運をかけた打ち手です。そんな重要な決断をサポートできるやりがいは、他にないと思います」
そのうえで菅原が注目したのが、M&A業界のなかでも後発組であるM&A総研の躍進を支えるチーム体制だ。もともとはダイレクト営業が主体だったM&A総研は、アドバイザーが単独でM&Aのサポートをするのが一般的だったという。
「しかし金融提携部は、金融機関とやり取りするので、2人以上のチームで業務に当たることを基本としています。それでいて時間の都合さえつけば、ダイレクト営業でも動くことができる。個人でもチームでも、ハイブリッドな仕事の仕方ができるのが、金融提携部の魅力だと思います」
菅原岳彦 M&A総合研究所 提携本部 金融提携部 部長
中嶋がM&A総研で仕事を進めるなかで大きなやりがいを感じた経験を挙げてくれた。
「つい昨年のことなのですが、社長様と株主様のふたりで立ち上げたIT企業で、社長様がお亡くなりになってしまったケースが印象に残っています。株主様が社長に就き、そのまま大手企業の傘下に入るという選択もありました。しかし、株主様はこれまでの亡くなられた社長様との二人三脚の体制ではなくなるので、いっそ新たな体制で会社を再建してほしいと、社長を引き継ぐことを固辞されたのです」
社長の訃報という事態によって早期の経営立て直しに向けたM&Aの交渉成立が急務となり、同時に事業成長にもつながらなければならないという難しいものだった。
「結果的には、東京の同業の会社との成約が決まり、新しいスタートを切ることができました。現在では双方の会社が国内外の弱い商圏を補完し合い、両者とも大きな事業成長につながっています」
売却後に譲渡企業側を訪ねた中嶋は、M&Aのインパクトを改めて実感したという。
「無事存続できただけではなく、すべてが変わる勢いで事業が拡大していました。創業者ふたりの想いを引き継ぐことができて、ほっとしています」
金融提携部の立ち上げメンバーという重責を担った菅原は、すでに同業他社が進出しているフィールドでどのような戦略を立てたのだろうか。
「他社が断った企業も積極的に引き受けました。難しい条件に取り組むことを前提に、親身になってくれたという事実が、相手の心に響くのです。それが、私たちの入り口をつくってくれると思っています」
具体的な事例として菅原が語ったのは銀行から紹介された企業で、ニッチな業種ゆえに買い手企業が見つかりづらかった大型企業のM&Aだ。
「銀行の担当者から、こうした企業も対応可能ですかと、困った様子で相談されたのです。そこですぐさま弊社のマッチング専門部隊と連携して、結果的に2週間で相手先を見つけて成約にこぎ着けました。そのスピード感によって、弊社の強みを銀行担当者に実感していただけたのが何よりの収穫でした」
中嶋は現在、今年開設された、中嶋の故郷である群馬県の高崎オフィスでオフィス長として常駐している。銀行員時代の仲間には「高崎を盛り上げてほしい」と大歓迎されたという。
「東京本社から来るのとオフィスを現地に構えているのとでは、お客様から見たときの印象が異なります。オフィスがあるというだけで、地元企業の一員として迎えられ、地域密着の金融機関との提携も深まりやすく、新しい領域を開拓できている感触があります」
東京では大手金融機関だけではなく、地方銀行や信用金庫などとも接点があった中嶋。今度は地元・群馬のあらゆる金融機関との関係を構築しているところだ。
「社会人として貴重な経験を積ませていただいていると思っています。これまでよりも大がかりなM&A業務にもつながっていくはずです」
一方、菅原は、金融提携部ならではの楽しさを感じているのだという。
「個人で動く楽しさもありますが、チームで動く楽しさもあるのが金融提携部です。まだスタートして1年半なので、開拓フェーズであり、まだまだやりたいことがたくさんあります。現在力を入れているのは、銀行に出向して銀行の名刺でお客様を開拓していく施策です。時間はかかると思いますが、新たな取り組みとして期待しています」
最後の締めの言葉として、中嶋は将来展望を、菅原は金融提携部に向いている人材について語ってくれた。
「現在、高崎オフィスに常駐しているので、地元での提携先の拡大はもちろんですが、地域の課題に向き合いながら、地域経済が循環するような地方ならではのM&A施策を行える土壌を築き、他の地方にも展開できる地域密着型のモデルケースをつくっていきたいですね」(中嶋)
「営業力以前の問題として、金融機関と接する際には、それぞれの銀行がもつ独自の文化や慣習を理解し、相手の立場に寄り添ったきめ細やかな対応が求められます。そうした“思いやりの姿勢”をもてる方は、この仕事に向いていると思います。また金融機関に限らず、地域のさまざまな業種の方々と関係を築いていけるのも、この仕事の大きな魅力なので、そうした人とのつながりに積極的になれる方には、やりがいのあるフィールドだと思います」(菅原)
菅原岳彦(すがわら・たけひこ)◎東北学院大学卒業後、七十七銀行に入行、営業業務を経て、本部M&A部署にて5年間の在籍中に20件超のM&Aを成約。多くの企業オーナーとの対話を通し、M&Aの有効性を痛感し、転身を決意、M&A総合研究所に参画。
中嶋宏樹(なかじま・ひろき)◎みずほ銀行で12年半、M&A業務に特化した経歴を持つ。その後M&A総合研究所に参画。銀行での経験を活かし、現在は金融提携部でより専門的な立場でM&A業務に携わっている。
text by Ryoichi Shimizu photographs by Shuji Goto edited by Akio Takashiro
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