「KPMGコンサルティングを選んだ決め手は、自由度の高さでした」
同社の戦略チームである「Strategy and Transformation」(以下、ST)パートナーの青木聡明とコンサルタントの鈴木雅也に共通する入社の理由だ。
STは、少数精鋭かつ自由度の高い組織であることが特徴だ。2014年の設立と歴史が浅いながらも大手グローバルコンサルティングファーム“BIG4”の一角を成す同社は、どのような会社なのだろうか。まずは、青木と鈴木の経歴を紹介しながらKPMGコンサルティングの特徴を紐解いていく。
青木は、大手生命保険会社や戦略コンサルティングファーム2社を経て、2016年に入社した。STは、クライアントのビジネス変革や新規事業開発、経営・事業戦略策定といった企業経営における上流の支援を多く担う。担当業界や領域の幅は極めて広い。金融や製造、エネルギー、人材サービスなどさまざまな業界を担当し、プロジェクトの内容も新規事業立案や組織作り、中期経営計画、事業再生、営業改革など実に多様だ。入社の決め手も、幅広い領域に関われることだったという。
「戦略コンサルタントにとっては物事を狭く深く突き詰めることも大事ですが、私は業界を超えて視野を高く・広く概観することをより大事にしたい。業界横断で仕事ができた方が面白く、領域を縛られると窮屈に感じるタイプなんです。それまでのキャリアでも特定業界や領域に特化することなく、幅広くプロジェクトを経験してきたこともあり、自分のコンサルタントとしてのキャリアとも合致すると感じました」(青木)
一方の鈴木は、新卒でKPMGコンサルティングに入社し、現在3年目。コンサルティングファームに興味をもったのは、新卒2、3年目であっても重要な一戦力として活躍することに挑戦できる環境だったからだという。その中でも、面接やインターンシップを通し、多くの社員と対話したことで同社に強く惹かれた。
「人がとても魅力的だったんです。自分たちはあくまでチャレンジャーであり、これから伸びていくコンサルティングファームだというスタンスに、等身大の誠実さを感じました」(鈴木)
鈴木は、新卒3年目にしてプロジェクトをリードするコンサルタントとして活躍中だ。クライアント側の実務者とのミーティングは鈴木に任されており、裁量の大きさが彼の成長スピードの加速につながっていることは明らかだ。
コンサルタントの自由度が保たれている背景には、売上だけを追い求めすぎない会社の姿勢がある。同社代表取締役社長兼CEOの宮原正弘は「自社の短期的な売上を追求するのではなく、長い時間をかけてクライアントの成長に貢献していく」と明言しており、クライアントの成長につながらないと判断すれば無理に案件化はしない。STでは人事評価においても、シニアマネジャー以上は売上目標があるものの、社会貢献や社内コラボレーション推進、組織作りなどの項目にも比重が置かれている。
では実際に「クライアントの健全な成長を目指すため」の指標となるものはなにか。STが主眼を置くのは「課題の再設定」だという。
KPMGコンサルティング・STパートナーの青木聡明
「たとえばクライアントからDXによる新規事業の相談をいただいても、何のためにやるのか、根本的な困りごとは何か、解決手段としてテクノロジーは本当に必要なのかを徹底的に議論します。ここをはっきりさせないことには、質の高いアウトプットは決して生まれないですから」(青木)
提案の質を上げるには、クライアントとの議論でわからない点やクライアントの意図を図りかねる場合があれば、物怖じせずに理解するまで質問する、「問う力」が鍵を握る。普段から自分の違和感にアンテナを立てて「問う」ことを繰り返しておかなければ、クライアントの根本的な課題は見つからず、自分の思考も鍛えられない。
青木の信条でもある、コンサルタントが幅広い業界を担当することも、クライアントの信頼を得ているゆえんだ。通常、コンサルティングファームは担当セクターごとに組織が縦割りになっていることが多いが、STでは1人のコンサルタントが多様な業界を見ているからこそ、クライアントの業界の慣例や商慣習に縛られないアイデアが出せるという。
「関心の強い領域やそれへの造詣があることに越したことはないですが、共創が増えるなど時代は他領域とのクロスオーバーを求めています。もはや特定領域の知識だけでは議論できない。さまざまな業界の関連性を見ていくことなど、コンサルタントに求められるものが変わってきているのです」(青木)
では、そんな時代におけるコンサルタントとして、青木がメンバーへ求める資質とはなにか。
「能動的に動ける人。それが唯一求める資質と言ってもいいほどですね。プロジェクトでリサーチを任されたら、入社1年目であっても社内ミーティングをリードする。リサーチ担当者が一番情報を持っているわけですから、自らの分析を述べ、議論の出発点になることが重要。ときに議論の方向が飛躍しても、自分の意見を伝えることに意味があります。社内で議論ができなければ、クライアントと議論できるわけがないですから」(青木)
青木の言葉の通り、同社ではあらゆる場面で能動的に動くことが求められる。青木は、若手が希望するプロジェクトにアサインされず悔しい思いをしたら、その理由を聞きに行くべきだと話す。そういった日常の細かなところから、「問う力」が養われると考えているからだ。
自ら動いた社員へのチャンスは、次に訪れる可能性もある。新しいプロジェクトが立ち上がった際、「アクションを起こした人は私のアンテナに引っかかるので、おのずとアサインの優先順位は上がります」(青木)。
そして、「自由」かつ「能動的」は、組織のカルチャーにも通じる。
プロジェクトによっては、他部署やグループ会社とのコラボレーションを上長への承認プロセスを経ずに進めることが日常茶飯事。その背景には、STが少数精鋭であり、クライアントへ質の高いサービスを提供するためには他部署やグループ会社と知見や経験を補完しながらの総力戦が不可欠という、組織の共通認識があるからだ。
KPMGコンサルティング・STコンサルタントの鈴木雅也
鈴木もそのカルチャーを実感し、自身の成長の糧にしている。プロジェクトの遂行に必要があれば他部署のスペシャリストに声をかけて議論することもある。自らの知見を広げるために、希望してグループ会社への出向も経験した。
「やりたい領域があるなら、積極的にパートナーとも関係性を作り、自分で道を切り拓くべきだと感じています。自分でチャンスを取りにいくことは、普段から意識していますね」(鈴木)
若手コンサルタントが活躍する場面は多いが、はじめから全員に等しく機会が提供されているわけではない。待っているだけでは何も起こらないが、能動的に動いた人には相応のチャンスが巡ってくるのがKPMGコンサルティングの社風だ。
人材育成においても、「能動的」がキーワードとして浮かび上がる。
会社としてOJTやeラーニングなど育成の仕組みはあるが、パートナー陣のスタイルは「座学よりも機会提供。実務に勝るものはない」だ。
鈴木が現在プロジェクトリードを担うプロジェクトは、パートナーが2名、鈴木、そして鈴木と同じ職位のメンバーが実務者として4名いる。鈴木はパートナーに自ら掛け合い、毎日1時間ディスカッションの時間をもらっているという。マネジャーではなくコンサルタントがプロジェクトをリードし、階級を飛び越えてパートナーと毎日議論する機会は、階級制が強い同業他社にはほとんど見られない光景だろう。
「忙しい中で時間をもらうのですから、プロジェクトの進め方や今後の案件へのつなげ方など、自分の意見を伝えたうえでアドバイスをもらっています。こういう貴重な機会をもらえているのは、能動的に動き続けた結果なんだろうとも感じます」(鈴木)
青木は鈴木の成長ぶりを評価し、今後への期待も滲ませる。
「彼ならできると思うからアサインしているし、早くシニアコンサルタント、マネジャーになってもらいたいと思っています。彼の成長は、後輩や彼より年上の中途入社メンバーにとってもよい刺激になっているはず」(青木)
コンサルタントが自由闊達かつ能動的に動ける環境を維持するKPMGコンサルティングは、自らを「変革オーケストレーター」と称している。パートナーからコンサルタントまで、1人ひとりが社内外のステークホルダーの「オーケストレーター」となり、これからもクライアントの健全な成長に寄与する。
文・御代貴子 写真・古水良
編集・佐伯香織(ハガツサ)
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