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2022年9月に厚生労働省が発表した2021年度の概算医療費は、前年度に比べて4.6%増となる44.2兆円。コロナの感染拡大による受診控えの影響により2020年度は医療費が減少したが、2021年は増加に転じ過去最高となった。

こうした現状から医療保険制度の負担・給付の見直しが必要とされているなか、未病・予防の段階での気づきを促し、日本の健康リテラシー向上を目指すスタートアップ企業がある。

ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)がDX領域でヘルスケア分野における社会課題の解決を推進すべく2018年10月に設立した、ヘルスケアテクノロジーズ株式会社(以下、ヘルスケアテクノロジーズ)だ。

同社が目指す一気通貫のヘルスケア・プラットフォームとは。代表取締役社長 兼 CEOの大石怜史とCSOを務める鴻池大介に話を聞いた。


オンライン診療を根付かせるための一石を投じる

超高齢社会や医療費の増大、医療従事者の疲弊など様々な要因により、現状の医療制度を維持することが難しくなりつつある現在。

そこで何らかの不調を抱える未病にもアプローチをし、日々の健康サポートから健康維持・増進に向けた主体的な選択を支援できないかという思いから生まれたのがヘルスケアアプリ「HELPO(ヘルポ)」だ。

「HELPO」ではヘルスケアテクノロジーズに在籍している医師・看護師・薬剤師から成る医療専門チームが、チャット形式で24時間365日サポート。健康医療相談だけでなく、オンライン診療にも対応している。


ヘルスケアアプリ「HELPO(ヘルポ)」

海外では、コロナ拡大以前からオンライン診療のプラットフォームが普及している地域が多くあったが、日本ではいまだに対面診療が主となる。なぜオンライン診療が進まないのか。

大石はその理由を「医療領域におけるデジタルアダプション(digital adoption)が進んでいない」ことだと話す。

「医療現場では、未だに紙→デジタル→紙の運用を目の当たりにされる方も多いのではないでしょうか。記憶に新しいのはコロナ陽性者報告において医療機関から保健所へのやりとりにFAXが用いられていたこと。効率的な運用からは程遠いのが現状です」(大石)

日本では積み上げ型の医療報酬が定着しており、医療機関では加算を取ることに重きがおかれ、民間企業のような効率性の担保やコスト抑制意識などが蔑ろにされている。しかし海外では民間企業が病院を経営するケースも多く、お客様/患者様にとって利便性が高く、病院の経営という観点でも効率的な環境が維持されている。結果としてオンライン診療が社会インフラとして確立している国も多い。

「日本の医療ではデジタル化が進まず、コロナ禍では医療崩壊が叫ばれた。だからこそ円滑に全ての人が医療を享受することができ、かつ財政としても健全化を図ることが今後課題となってくる。そこで我々の最初のアプローチは『健康であり続けられる社会の実現』でした。その結果、医療に届くまでのソリューションを提供することが最初に作りあげたモデルです」(大石)

「HELPO」では、専用ECサイト「HELPOモール」にて市販薬や日用品が購入でき、東京23区エリアなら最短3時間で受け取ることができる。こうしたサービスの拡張により、医療機関にかかる前段階で健康課題を解決できるのも「HELPO」の大きな魅力の一つだ。


ソフトバンクが出資元だからこそできる大規模なPoC


「HELPO」の開発では海外のオンライン診療を参考にプロダクトを設計。会社設立から1年という速さで完成し、その機能をさらに高めるためにソフトバンクのグループ会社にPoCという形で展開した。

「PoCといえども、ソフトバンクのグループ会社数万人に対しサービス提供を始められたのは大きなメリットだった。しかし利用者に提供する情報がネット検索で得られるようなレベルであってはならない。PoCで数多くのフィードバックをもらい、我々や医療従事者が共に一つになって品質改善を繰り返していきました」(鴻池)


ヘルスケアテクノロジーズ株式会社 CSO 鴻池大介

ヘルスケアテクノロジーズが一般的なベンチャーと一線を画すのは、やはりソフトバンクというバックボーンが大きく影響している。

数万人を対象者に何度も試行錯誤を繰り返すことで知見を集め、早期課題解決と技術向上を実現してきたことが、多くの自治体や企業から信頼されている証なのだろう。


混乱するコロナ禍においてわずか1ヶ月で職域接種向けのシステムを完成

「HELPO」では「ワクチン接種支援オプション」も提供している。これは新型コロナウイルスワクチンの職域接種を実施する企業が、接種予約の受け付けや従業員の接種履歴などの管理を、「HELPO」を使って簡単に行えるようにする機能だ。

出張などで陰性証明が必要となるPCR検査も、集合型、個人宅配送型2つの検査方式を選ぶことができ、予約から結果確認までペーパーレスで完結できる。

「当時は、新型コロナウイルスワクチンの職域接種の必要性が非常に高まった時期であり、企業も従業員もいかに手間を少なく、安心安全にワクチン接種を実施きるかということが求められた」と鴻池はいう。

こうしたニーズに応えるため、ワクチンの物流や接種会場、職域接種の実施にあたって必要な運用は何か、などワクチン接種に関する情報が錯綜するなか、同社はわずか1ヶ月で職域接種のオペレーションを構築し運用を行った。

「当時、HELPOを活用して職域接種を全国10拠点、約13万接種を実現できたのは、当社が医療とIT、両方の知識と技術を持っているからこそだと思っています」(鴻池)

ワクチン接種に関する質問や接種後の副反応などの問い合わせに対し、医師・看護師・薬剤師の専門チームがチャットで24時間365日対応したことで、従業員の不安軽減にも大いに役立った。

世の中の流れに対し求められていることに瞬時に対応する最先端のテクノロジーと、それを素早くローンチする。こうした柔軟性とスピード感がヘルスケアテクノロジーズ独自の強みと言えるだろう。


「我々が社会インフラを作っていく」当たり前を変えていく

厚生労働省の調査によると、2065年には総人口が9000万人を割り込み、65歳以上の高齢化率は38%台になると推計されている。医療崩壊、診療報酬大幅引き上げは待ったなしの課題だ。

「国民皆保険の制度が壊れないように下支えができる医療ネットワークと、医療費を高騰させない効率性が必要不可欠です。我々の役割はこうした持続可能な社会インフラを造ること。これこそがこの先5年10年で描いている未来です」(大石)


ヘルスケアテクノロジーズ株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 大石怜史

大石の言葉を受け、鴻池は今の医療に対する常識を変えていく必要があると語る。

「新たなインフラを造るには、まず当たり前となっている常識や価値観を変えていくことが重要です。病気になったから病院へ行くのではなく、事前に自分の体を知ることが前提となる社会を目指したい」(鴻池)

新しい常識を生み出そうとしているヘルスケアテクノロジーズ。企業として成長を続けるために、これからどのような人材を迎えたいと考えているのか。

「能動的に動ける方ですね。挑戦したいという意欲、そして社会や事業の役に立つことなどを考え周りも巻き込みながら実現したいと思う人と一緒に仕事ができると嬉しいです」(大石)

「チャレンジした上で結果を振り返り、反省して次に進む。そのプロセスの中で着実に前進できる人材であれば、いくらでも挑戦できる場があると思っています」(鴻池)

最も信頼されるヘルスケアのプラットフォームを提供し続けることをミッションに、ベンチャーならではのビジネス構想力・ブランド力・IT技術を駆使し、健康・医療のマーケットをリードしていくヘルスケアテクノロジーズ。

未病・予防で医療崩壊を防ぐだけではなく、時間や場所を気にすることなく気軽に相談ができるホームドクターを持つ時代へと、日本の医療は大きく生まれ変わることになるのかもしれない。

 

文・石澤理香子 写真・奥西淳二

編集・大藤文(CRAING)

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