自分らしい働き方で、自らのキャリアをどう尖らせていくか。
コンサルタント歴約10年の鎌田珠里はそれを見極めようとしていた。
大手コンサルティングファームから、さらなる挑戦と成長を求めてBCG(ボストンコンサルティンググループ)へと転職した彼女。BCGではテクノロジーアドバンテッジ領域を中心に活躍し、昨年には産休育休を取得。現在は復帰し、ワーキングマザーとして新たなスタートを切った。
クライアントへのアウトプットにも自分自身の成長にも妥協を許さない。そんなイメージのあるコンサルティング業界で、鎌田もまた仕事の質を追い求めている。
だがコンサルタントも一人の人間。
仕事以外にも、大切にしたい時間や価値観を持つのは当然だろう。
「より良い人生のために、どう働き、どう生きるのか」
そう自分に問い掛けるのは、決して鎌田だけではないはず。仕事で成果を生みながら、人生の質まで高めるにはどうすればいいのか。理想的であるが故簡単ではない、この難題を解くための一つの答えを探っていきたい。
海外の大学を卒業後、日本の総合コンサルティングファームに約4年間勤務した鎌田は、BCGへの転職理由を、「より視座の高い仕事をするため」だと語った。
総合ファームではどうしても案件は玉石混淆になる。しかしBCGでは一貫してCxOレベルの案件が担当できるのだと、BCGへ転職した先輩から聞いていた。さらに前職で鎌田が力を注いでいたデジタル領域を、BCGも強化している最中だった。
「挑戦しがいがある」そう感じて入社を決意した鎌田。まず驚いたのは「ここまでやるのか?」と思うほどに、アウトプットをブラッシュアップするBCGの熱さだった。
「とにかくクライアントに対する責任感が強いんです。目の前の課題だけでなく、その根底にあるクライアントの企業課題まで理解をした上で提案・遂行をする姿勢に驚きました。え?そこまで考えるの?と最初は戸惑ったほどです」
さらに他社であれば社内のマネジメント業務を主とするパートナーが、BCGでは誰よりも強い思い入れを持ってクライアントにコミットしていることに、鎌田は目を見張った。パートナーがプロジェクトミーティングに参加し、提案内容に責任を持つ。その姿勢が、チーム全体のクライアントに対する思いを深め、提案を研ぎ澄ませた。
「クライアントよりもパートナーの方が提案に厳しい(笑)。だからこそ、指摘を受けた意味をより深く考えるようになりましたし、CxOの考えや、経営視点にも思いを巡らせることができるようになりました」
BCGに入社して約2年が経った頃、鎌田は産休育休を取ることになった。周囲に産休育休から復帰して活躍している先輩や上司が何人もいたことで、仕事を休むことに不安はなかった。ただ、産後の自分がどんな気持ちになるのかは、想像が付かなかった。
子供が可愛くて、もっとそばにいたいと思うのかもしれない。しかし、産後に芽生えたのは「子供は可愛い。でも仕事もしっかりやりたい」という思いだったという。
「どちらかが優先順位1位で、どちらかが2位にはしたくない」
彼女の思いに答えたのは、稼働時間を自由に選択できるBCGの柔軟な復職制度だった。
鎌田が選んだのは、60%、80%、90%と、1カ月単位で少しずつ働き方を調整していく方法だった。助走期間があったことで生活のリズムが整えられ、スムーズな復職が叶った。さらにその間、上司とは「無理のないアウトプットの仕方」を話し合うこともできた。

「育児で夕方の数時間、席を外すことになっても、1日の終わりや、1週間の終わりにしっかりとアウトプットし、その内容に責任を持つ」この仕事の仕方は、育児中の鎌田に最適だった。
「たとえ2時間仕事を抜けたとしても、それだけで評価されるわけではない。そう上司と握り合えたことで、もやもやしていた気持ちに折り合いが付きました。この環境であれば、仕事に対しても育児に対しても満足度の高い状態で続けていけるなと思えたんです」
そう語る鎌田だが、復職当初は拭い切れない「申し訳なさ」も抱えていたという。
保育園の送迎のために先に職場を出る時、子供の急病などで仕事ができない時、多くのワーキングマザーたちは、フルタイムで働く同僚たちへの「申し訳なさ」を噛みしめている。しかし、BCGのカルチャーが、これさえも払拭してくれたのだ。
「BCGではプロジェクトを始める際、必ずメンバーそれぞれのルールを共有するんです。私であれば、17時から19時間は育児の時間というルールですが、育児中でないメンバーも各々ルールを持っています。
例えば、水曜日は夕方からジムに行く、朝型なので夜は早く仕事を終えるなど。個々のルールを共有し合い、それを組み合わせてチームで結果を出すのがBCG流。自分だけが特別扱いされているわけではないので、心が楽になりました」
どんなライフスタイルも許容し、仕事にもプライベートにも自分らしく向き合える環境を整える。そんなBCGのカルチャーは、ワーキングマザーの心の枷(かせ)を解いていた。
メンバーそれぞれが、自分の時間をどう配分するか決められる。たしかに、BCGのカルチャーは人生を豊かにしてくれるだろう。しかしそれは、提案の妥協につながることはないのだろうか。
その問いに、鎌田は迷うことなく「NO」と答えた。理由は、時間をかけずとも良質なアウトプットができる仕組みや体制がBCGにはあるからだ。
例えばその一つに、BCGの発達した社内アウトソーシング網がある。コンサルタントの指示の下、提案資料の作成支援やスライドを整える作業を請け負うドキュメントサービス。英語・日本語に対応した専門スタッフが24時間体制で提案のためのリサーチを担ってくれるリサーチチームなどがその例だ。
さらに、テクノロジーアドバンテッジ領域やDigitalBCG(データサイエンス/アナリティクス領域やデザイン、アーキテクト、プロダクトマネジメント領域のエキスパート集団がいる組織)の人員強化によって、国内外のデータサイエンスやデジタルマーケティングにおけるプロフェッショナルたちがBCGに在籍するようになったことも大きい。彼らの持つ深い知見に、チャット一つで気軽にアクセスできることは、BCGの何よりの強みと言える。
「彼らの存在により、欲しい情報にたどり着くまでの時間を大きくショートカットでき、さらにより質の高い提案ができるようになりました。デジタル界のアベンジャーズが身内にいる感覚、と言えば分かってもらえるでしょうか(笑)」と鎌田は、彼らの存在について語った。
また、先述したパートナーのコミットメントも、BCGの提案クオリティーを確固たるものにしている所以であることは間違いない。こうしたいくつもの制度が確立されているからこそ、BCGでは仕事にかけられる時間にたとえリミットがあっても、アウトプットの質が下がることはない。「人生」と「仕事」が天秤にかけられることもないのだ。

鎌田の所属するテクノロジーアドバンテッジ領域では、DXニーズの高まりを受けて多種多様な案件が一気に進んでる。
その中で鎌田が最近手掛けたのは、インフラ系企業における全社的な業務のデジタル化や、金融機関向けデジタルマーケティング事業支援などだ。中でも短期間のアウトプットが求められた金融機関向けの案件では、「社内のネットワークやサービスを駆使して、クライアントから評価されるいい結果を残すことができた」と手応えを感じていた。
「育児中の今は、100%の時間を仕事に割くことはできません。だからこそ、新たな自分の働き方で、どんな成果が出せるのか、どんどん試していきたいですね。BCGには多様な働き方を許容するカルチャーがあります。その中でどう自分の強みを見つけて、尖らせていくか。それをどうプロジェクトに生かしていくか。今まさに模索中です」
そんな鎌田が今後手掛けたいと語るのは、日本企業が提供する商品、デジタルのサービスの事業策定、UXの向上だ。「使い勝手の良い」「人に寄り添う」デザインで、BCGの知見を最大限活用した世界で戦える日本の商品、サービスを作りたいと真っすぐに語る鎌田。
その姿に、誰にでも訪れるライフステージの変化や、逃れようのない枷を解き、個々の成長を止めることなく後押しするBCGのカルチャーそのものを感じた。
文・笠井美春 写真・小田駿一
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取材中、鎌田氏は言った。
「気軽に相談できる上司がいる。仕事以外の部分でも親身になってくれるんです」
さして変わったことではないように思えるかもしれない。
だが私がこれまでワーキングマザーでもある経営層クラスの女性への取材に立ち会う中で、
共通していると感じたことがある。
それは、彼女たちが育児真っ只中の時、「雑談」が救ってくれたと語っていたことだ。
時にはランチ、時には時間がなく立ち話でも構わなかったと。
かしこまった場である必要はない。
たわいもない話が与えてくれる、一時の余白。
自分の感情を吐露し、少し考えが整理される。
鎌田氏のお子さんはまだ小さい、しばらく育児と仕事の両立は続く。
「電子レンジをかけている間も無駄にはできない」
笑いながら彼女は言う。そう、私たちは本当に忙しい。
けれど、「育児でも仕事でもない時間」を少しでも作って、軽やかに前に進んで行こう。
そしていつか、次の世代の雑談相手になっていこう。
鎌田氏の笑顔を思い出しながら、私はそう思っている。
編集・梅田佳苗(Forbes JAPAN CAREER)