人生が偶然に進んでしまったように感じることはあるだろうか?

一つの仕事が次へと続き、5年、10年、20年後、特に満足感も得られないキャリアを積んでいる。

もしかしたら、自分が何をしたいのか、どのようにそれを達成するかをきちんと考える時間を取らず、偶然によって今の仕事に就いていると感じるかもしれない。こうしてあなたは、自分が行き詰まったと感じている。

これは、キャリア理論家が「キャリアの妥協」と呼ぶものの結果として起きる場合がある。米心理学者のリンダ・ゴットフレッドソンの制限・妥協のキャリア理論は、人がさまざまな理由から自分で妥協と考えるキャリアを歩むことがあると示唆している。

人が自分のキャリアをこのように認識する背景には、ジェンダーや育ち方、社会経済的地位、学業成績、他者が設定した期待値、自分の目標や成功を収める必要性などの要素が複雑に組み合わさっている。

自分が間違ったキャリアを選んでしまったと思う場合、変化を起こすのに遅過ぎるということはない。ここでは、その状態から抜け出すための4つのステップを紹介する。

1. 自己開発に投資する


最初にすべき最も重要なことは、一歩引き、自分がどのような人間か、なぜ行き詰まったように感じているのかを理解することだ。邪魔が入らない静かな時間を見つけ、次のような効果的な問いを自問しよう。

・自分が得意なものは?
・人から褒められることは?
・かつては楽しんでいたが、長年の間にしなくなってしまった活動は?
・今のキャリアについて好きなことは?(必ず何かあるはずだ)
・何時間も集中して取り組み、時間を忘れることができる活動は?
・あまりに「非実用的」「非現実的」だと感じ、早いうちに諦めてしまったキャリアは?

2. 心を開く


多くの人は、自分がしたいことよりもすべきことを基準に選択をしたために、満足できないキャリアを選んでいる。自分に合わないキャリアから抜け出せないと感じている場合、心ではなく主に頭で考えて動いているはずだ。

満足感を得るためには、考える基盤を頭から心に移すことが重要だ。心で考えることで、新たな機会や物事の見方にも受容的になる。

社会の期待は忘れること。成功したり充実感を得たりするためには、医師や弁護士になる必要も高い学歴を持つ必要もない。

私たちは多くの場合、自分が認められたと感じられるよう、人を感心させるキャリアを選んでしまう。そうして私たちは、自分が本当に幸せになれるものを見失い、結果的には昇進の階段を登るごとにより不幸になり、不満を感じるようになる。

現代の世界にはさまざまな選択肢があり、自分のルールに基づいて自分で人生を設計することがこれまで以上に可能になっている。心を開き、可能性を探ること。自分に資格があるものではなく本当にやりたいことを考え、そこから計画を練ろう。

3. 励みになる人を探す


リーダーシップ専門家・起業家のトニー・ロビンズは、この点を次のようにうまく説明している。

「私たちが、成功を収め、前進を遂げ、前向きで、成果を出すことに焦点を当て、自分を支えてくれる人を周囲に集めたとすれば、自分がより大きな存在になり、より多くの行動を起こし、より多くのものを共有する刺激になるだろう。あなたが自分の潜在能力以下のものに落ち着くことを許さない人があなたの周囲に集まっていれば、それは誰もが願う最高の贈り物だ」

理想のキャリアを特定したら、その分野で成功を収めた人を探そう。自分の後に続くことを目指す人との会話を喜んで受け入れる人は実は驚くほど多いので、恥ずかしがらないこと。

また同時に、現在のプライベートでの人付き合いや仕事での人間関係を評価しよう。その中に、あなたの前進を妨げている人はいるだろうか? あなたと関わりを持つ人は、人生により多くのものを求めるあなたの願いを共有しているだろうか?

そうでなければこうしたつながりを断ち、基準を上げるべきかもしれない。楽観主義とポジティブさが生活に入ってこれるよう、ネガティブなエネルギーをなくすことが転機となるかもしれない。

4. 小さなステップを踏み出す


小さくても一貫性のあるステップを踏むことが大きな変化につながることがある。ほとんどの人は、安全地帯の外に踏み出すのを恐れているか、大きなキャリア変革のことを考えて圧倒され、行き詰まったように感じている。古代中国の哲学者の老子は「千里の道も一歩から」と述べている。

そこで、次の段階にのみ焦点を当てるようにしよう。あなたが転向を目指すキャリアには、追加の教育や認定が必要かもしれない。プログラムを調べ(こうした要件は夜間や週末講座でも満たせるかもしれない)、どのような追加トレーニングが必要かを特定しよう。

また、あなたが転向を望む分野で働く人とつながり、毎日の業務や自分が楽しめるかどうかを考える。コーチかメンターを見つけて、この段階を乗り越える支援をしてもらうこと。最も重要なのは、具体的な指標を設けた短期・長期的な移行計画を立て、説明責任を持つことだ。

キャリア転換を遂げるのに遅過ぎることは絶対にない。重要なのは自分を知り、心を開き、周囲に支援を求め、小さいが一貫性のあるステップを踏むことだ。あなたが望むものは存在する。それを手に入れるまで、その場に落ち着いてはいけない。

※Forbes JAPANのWEB記事より転載
翻訳/編集・出田静