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「公認会計士や税理士には、個性的で一匹狼タイプの人が多い。独立しても食べていくことができるスキルを持っていて、これまで個人主義で仕事をしてきた人もいる。決して創業当初から今の連帯感があったわけではない。だからこそ、どうすればワンチームになれるかを考えました」

社員の顔を思い浮かべながら、自身が率いる組織をそう語るのは、大阪に本社を置くフェアコンサルティングの代表取締役・伴仁(ばん ひとし)である。

2004年に創業した同社は社員数約400名、うち80名ほどが公認会計士・税理士のコンサルティングファーム。特筆すべきは、中国、タイ、メキシコ、ドイツ、アメリカなど世界17カ国に29拠点を置き、グローバルに展開している点だ。(※2021年11月取材当時)

彼らの仕事は、日系企業の現地法人における会計・税務や海外事業の支援。現在進行形で1,500社をクライアントに持つ。

「猛烈に尖った専門家がいるわけでもなく、ウルトラCの戦法で勝ったこともない」と謙遜する同社の強みは、一体どこにあるのだろうか。

顧客、会社、社会の三者にとってフェアな取引を


代表取締役・伴は、公認会計士として監査法人でキャリアをスタートさせた。監査業務などに従事しつつ順調にキャリアを積む中で、やりがいを感じつつも、どこかモヤモヤを消し去れなかったという。

「決算書の間違いを指摘する仕事などが多くて。そういった仕事をしていると、なかなかお客様に感謝をされることがないでしょう(笑)。もっとダイレクトに、『ありがとう』という言葉を頂ける仕事がしたいと思ったんです」

フェアコンサルティングを創業した伴。社名には、「顧客、会社、社会の三者にとってフェアな取引をしたい」との思いを込められている。

事業ありきではなく、お客様のあらゆる課題やニーズに応えていく形で一歩ずつ歩みを進めてきた。その中で海外拠点設立においては、“まずは開拓、次にニーズ作り”という姿勢を貫く。

「BIG4を筆頭に、ライバルはたくさんいる。選択肢が多い分、クライアントが私たちを選び続けてくれる保証はないし、他国でのビジネスの成功を約束してくれるクライアントもいない。だからこそ、自分たちのタイミングで進出して、ゼロからクライアントを開拓してきました」

海外は全て直営拠点、壁をなくす


他のコンサルファームが海外の同業他社と提携を結ぶことも多い中、フェアコンサルティングの海外拠点は全て“直営拠点”であることも、大きな特徴だ。

「海外拠点が提携先である場合、同じ冠があってもやはり別会社なんです。依頼するたびに費用が発生するので、連携の壁が高く、そのために一体感も生まれない。結果的に、お客様に十分なサービスを届けられないと実感しました。

直営拠点にすれば、『隣国の〇〇さんに相談してみます』といった連携が容易にできる体制を構築できると思いました」

直営拠点体制の強みを生かし、複数拠点がワンチームとなってスピーディーで高品質なサービスを提供、クライアントの課題を解決する。メンバーが他拠点にヘルプで入って、大型プロジェクトを短期間で完遂するケースも多い。こうした積み重ねの結果、10年間で10倍の組織規模へと成長を遂げた。

ライバルも多い中、海外でゼロからクライアントを開拓するため、そして信頼を獲得し続けるために自分たちの強みをどこに置くか。

そう考えた時、「圧倒的な連帯感」を武器にすべきだと思い至ったのだという。


圧倒的な連帯感によって、プロフェッショナルたちは“チーム”になった


「圧倒的な連帯感」とは何か。それは、「共感」「創造」「連繋(れんけい)」の三段階で生まれるもの。

まず、フェアコンサルティングのフィロソフィーや伴が発するメッセージに、社員が「共感」すること。次に、海外進出の姿勢に表れているように、自らマーケットを獲得するために海外拠点や提供サービスを「創造」し続けること。そして、国を超えたクロスセルを目指して「連繋(れんけい)」し、チームプレーを大事にすることだ。

連帯感を醸成するためには、コミュニケーションが欠かせない。コロナ禍以前はなんと3カ月に1回、海外駐在のメンバーが日本に帰国し、集う場を設けていた。帰国時にはクライアントの日本本社を訪問することはもちろん、社内メンバーでミーティングや会食も頻繁に行なっていた。

こうした機会が定期的にあることで、普段は別拠点にいる社員間のコミュニケーションが促進され、帰国後も仕事をスムーズに進められるのだ。

現在、自由に海外と往来しづらくなったことでこのような交流の機会は減ったが、コミュニケーションを積み重ねて構築した関係性が強固であるため、仕事は変わらず順調に機能し、生産性が向上。ここ2年、社員数は変わらないまま、売上が2割以上伸長している。

伴も、創業期と今を比べると、組織の変化と確かな連帯感を実感していると言う。

「『圧倒的な連帯感』という言葉を掲げたことで、この考えに共感するメンバーだけが集まるようになり、まとまりが増したんです。売上が足りない時に他拠点からパスを貰ったり、トラブルが起きた時には日本のメンバーが一生懸命サポートしたり。

積極的に足りないところを補い合い、助け合うからこそ、『自分一人でできることは限られている』『周りに助けられて、大きな仕事ができている』と気付いたメンバーが多いのかもしれません」

「フェアコンサルティングがあるから大丈夫」と思われる組織へ


シンガポールからロサンゼルスへ、ジャカルタからバンコクへなど、人事異動によって海外を渡り歩きながらステップアップしているメンバーもフェアコンサルティングには多い。海外でのキャリアアップを志して、転職してくる者もいる。

しかし、当たり前ではあるが、誰もが転職早々から海外で活躍できるわけではない。伴もその難しさを理解している。

「公認会計士が監査法人から当社に転職する場合は、異業種への転職と言えるほど環境が変わります。『先生』と呼ばれて決算書作成を指導する立場から、お客様のニーズを汲んでソリューションを提供する立場になるわけですから。

仕事に慣れるだけでも時間がかかる。さらに、文化も言葉も違う海外で生活するとなると大変ですよね。それに帯同した家族が、なかなか生活に馴染めないこともあります。転職早々、三重苦が起こっては満足な成果を出すことができません」

そこで、転職者が海外赴任する際には、(1) 日本でコンサルタントの仕事に慣れつつ海外での業務内容について勉強する、(2) その後単身で海外赴任、(3) 自身が慣れた頃に家族を海外へ呼ぶというステップを推奨している。

取材の節々で、伴からメンバーに対する思いや見守りの姿勢がうかがえたが、こんなエピソードもある。

海外拠点の中で唯一オーストラリア拠点だけは、あるメンバーがきっかけで開設したというのだ。

「以前、家族でオーストラリアへ移住することになったメンバーがいて、『退職をしなければならなくなりました』と泣いて報告に来たんです。

彼はグループにとってかけがえのない人財なので、ぜひ働き続けてほしかった。だから、オーストラリア拠点を作ったんです。今でも営業部長として活躍してくれていますよ」

伴の根底にあるのは、メンバーに楽しく働いてもらいたいという気持ち。「お客様も、『楽しくない』と思いながら仕事をしている人からサービスを受けるのは嫌でしょう」と笑う。メンバーが楽しみながら成長できる、そんな機会を提供することが自身の役割だと認識しているのだ。

ちなみに伴にとっての仕事が楽しい瞬間は、クライアントに「フェアコンサルティングさん、ありがとう」、「〇〇さんが頑張ってくれて、助かったよ」と、メンバーのことを褒められた時だという。

今いるメンバーが成長すれば、自然と事業が拡大しビジョンが実現していく。そう信じて、顧客の要望実現や課題解決に役立つサービスラインナップのさらなる充実、非日系企業のサポート、拠点拡大などを見据えている。

「世界中に拠点があって、お客様から『どの国に進出しても、フェアコンサルティングがあるから何とかなる』と思ってもらえる状態を目指したい。圧倒的な連帯感を持って仕事ができる組織であれば、自ずとお客様から信頼いただけるはずだと思っています」

申し分ないスキルを持ったプロフェッショナルたちが、チームで事を成し遂げる面白さとダイナミックさを知り、拠点を超えて手を取り合う。「早く行きたければ、一人で行け。遠くまで行きたければ、みんなで行け」、そんなことわざを思い出した。

文・倉本祐美加 写真・小田駿一

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【編集後記】

記事には描かれなかったが、社員400名のうち、日本人は120名。
その他には、様々な国のメンバーがいるのがフェアコンサルの実態だ。

「マレーシアで採用した、20代の現地スタッフ。
成果を出した彼は本人の希望もあり、現在はドイツで活躍しています」と伴氏は言う。

これは国籍にもポジションにも関係なく、“個人”と向き合っていることの表れ。

取材の終わり、ふとした質問をぶつけてみた。

クライアントである日系企業の支援の先に、日本のプレゼンスが上がったらいいなど思うことはあるか──。

「いろんな国のメンバー、それぞれに愛国心がある」

伴氏のその後に続いた言葉からは、社会に対する価値提供はもちろんだが
「メンバーの幸せこそ、全ての土台」そう捉えている姿勢が窺えた。

この大阪発の知られざる企業には、グローバル大企業に匹敵する、
多様性を活かすノウハウが詰まっているのではないか。
そんな好奇心が湧く取材であった。

編集・梅田佳苗(Forbes JAPAN CAREER)